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『レンズの種類』
・『標準レンズ』はフルサイズ機50㎜、APS-C機で35㎜程度の画角を持つレンズ。
基本となるレンズで、バランスのいい映り。
・『広角レンズ』は標準レンズより近い焦点距離を持つレンズ。広範囲が映るため、情報量が多い写真となる。より広範囲を映す『魚眼レンズ』も存在する。
・『シフトレンズ』は主に建築の場で使われる特殊なレンズ。前玉に可動が入ってるため、カメラを固定しながら画角を変えることが可能。
・遠くの物を映したいなら『望遠レンズ』。
・被写体に寄って撮影したい場合は『マクロレンズ』が有効
・まずは標準レンズで撮影し、自分のイメージと照らし合わせてレンズを交換していくのがおすすめ。
こんにちは!タカハシです。
寒い日が減り、暖かい日が増えてきましたね。3月も終わりに近づき、新年度から広報を任されることが決まったり、新しく趣味を始めようと思ったりなどで、はじめてカメラを買った、という方も多いのではないでしょうか?
カメラはわかりにくい知識が多いもの。使っていれば機能については慣れていきますが、レンズについては、なかなか知識を深める機会がありません。
お店にいっても「~㎜」と書かれているだけでわけがわからないし、望遠・広角なんて説明された日にはさらに混乱してしまいます。
そんなお悩みを抱えている方に向けて、今回は焦点距離で変わるレンズの種類についてお話していきます。レンズを選ぶ際はぜひご参考になさってくださいね。
さて、レンズについての解説を始める前に、レンズに使われる「~㎜」という単位について解説していきます。
「~㎜」という数字はカメラの心臓『センサー』から、レンズの中心『主点』までの距離のことを指します。例えば50㎜のレンズならセンサーから5㎝離れた位置に主点があり、100㎜のレンズなら10㎝離れた位置に主点が設置されています。主点で屈折させた光をセンサーが記録し、写真が構成されているのです。そのため焦点距離が遠ければ遠いほど、光の屈折角度が鋭角になり遠くの物を映せ、近ければ近いほど屈折角が広がり広範囲を映せるようになります。
ただ、すべてのレンズはフィルム時代の基準が採用されているため、数字はいわゆるプロ機のフルサイズで使用した場合のものとなるのには注意が必要。価格が手ごろで多く流通しているAPS-C機では、センサーサイズがフルサイズ機と比べ小さいるため、レンズに表記されている数字は参考にできません。
APS-C機を使う場合は基本的に「レンズの表記㎜×1.5倍」をしてあげるとじっさいに画角が導き出せます。例えば、35㎜のレンズをAPS-C機に装着すると、フルサイズでいう50㎜相当の画角が映し出されるのです。このことを一般的に『換算』という言葉で表します。
そのため、APS-Cには広角域が狭まり、望遠域が伸びる、という特徴があります。APS-C機を使用されている方は、購入のさい、想定している画角とずれが起きないよう注意しましょう。
以下からはようやく、レンズの種類を解説していきます!
標準レンズ
まずは基本となるレンズ、標準レンズの解説。プロ用のフルサイズカメラでは50㎜前後、アマチュアクラス向けのAPS-C機では35㎜周辺の焦点距離を有した、写真の基本となるレンズです。決して派手な画角ではありませんが、歪みが少なく、人の目でみた範囲・形に近い正直な描写が特徴。
撮影するうえで被写体の歪みはもっとも気を払わなければポイントであり、「場を広く見せたい」「歪みに味を持たせたい」などの意図がない限りは避けるのが無難。物撮り・ポートレートなどで「50㎜以上で撮れ」といわれるのは、歪みの影響を少なく抑え正確な画を映し出す目的があります。
(広角側標準画角ぎりぎりの45㎜(APS-C換算・30㎜) 筆者的にはこの距離が好みだ)
(望遠側標準画角ギリギリの55㎜(APS-C換算・約35㎜) 同じ標準といってもこれだけ映る範囲に違いが出る。)
広角レンズ
人の目で見られる以上の範囲を映しだす広角レンズ。明確な基準はありませんが35㎜以下のレンズ(APS-C機では約20㎜以下)、つまり標準レンズの画角より広い画角を映し出すレンズをさし、建物の迫力や広大な景色を印象的に映したいときに役立ちます。
広い画角の秘密は極端に短い『焦点距離』。センサーの近くにレンズの中心である主点を設置し、さらに前玉の正面レンズも円形にすることによって広範囲の光を取り込み、圧倒的な光景を写真に収めています。
しかし光を異常に屈折させ記録している仕組みから、現実以上に被写体と被写体が離れて見えてしまったり直線が曲がってしまったりなどの、歪みが大きく出てしまう欠点も存在。違和感がある場合には、レタッチなどで歪みを処理してあげるといいでしょう。
(広角レンズを開けた場所の少ない都会で使う場合は、ビルを見上げるよう撮るのがおすすめ。)
また広角レンズの歪みは独特の世界観を醸し出すため、味として解釈されることもあり、歪みを考慮せずに画角を広げた『魚眼レンズ』も存在します。(フルサイズで10㎜程度、APS-Cでは実現が難しい)
(広い範囲を収められる分、垂直の柱や屋根が弧を描くように歪んでいるのがわかります。)
シフトレンズ
歪みが話題に出たところで触れておきたいのが『シフトレンズ』という特殊なレンズです。
シフトレンズの主戦場は、建築物の竣工写真。建築写真の現場では、建物の形を正確に捉え歪みのない正しい形を映しだすのが命題となってきます。
建物の形をしっかり映し出す際の考え方は、ふだん、物撮影するときと同じ。被写体の中心から地面と平行にカメラを構え、ゆがみを抑えて撮影する……のですが、多くの場合、建物は巨大なため、地面と平行にカメラを構えると建物が収まりきりません。
(シフト前の写真。建物の形や地面との平行さは正確ですが、肝心の建物が画面に収まりきっていません。)
撮影者が思いっきり上に手を伸ばしてカメラを構えても、せいぜい2メートル程度。建築物の中心で撮影ためには高さが足りません。また仮に脚立などで背丈を稼いでも体制が悪いため、平行がとれていなかったり、手ぶれが発生したりして、まともな写真とはならないことでしょう。
「正確な建物の写真を撮りたいけれど建物の中心でカメラを構えるには高さが足りない……」
そんなときに役立つのがシフトレンズなのです。
シフトレンズは前玉部に可動をいれることによって光の交点をずらし、センサーに映し出される範囲を変更します。
(写真は限界まで上部にうごかしたもの。中央のねじで稼働の調整ができまず。またレンズ上部のねじを使うと横にずらすことも可能です。)
光の交点がずれた関係で、例えばレンズを上方向にシフトすれば、実際に上方向にカメラをずらして構えたときと同じ効果が発生。もちろん効果は写真にも反映され、カメラ本体が中心から低い位置にあっても、建物の中心から撮影したような、整った形が撮影できるのです。
(シフト後の写真。地面との平行をとりつつ、正確なかたちの建物を画面におさめることができました。)
望遠レンズ
望遠鏡のように、遠くの物を大きく映せる望遠レンズ。標準レンズなどと同じようにこちらも明確な基準はありませんが、50㎜の標準域より画角の狭いレンズを指します。(APS-C機で35㎜以上)高倍率の望遠は被写体に近寄れないスポーツや、野生動物の撮影などで非常に有効です。見た目も長くとても重い望遠レンズは遠方を映し出す以外に、歪みが少なくなり被写体が詰まって見える、といった効果があります。
(望遠レンズを効果的に使えば月を撮影も可能です。)
望遠効果を可能にしているのは、異常に長いレンズの身体・鏡筒部。鏡筒部内に間隔をおいて複数枚のレンズを設置し、遠くの光を屈折させ取り込んでいるのです。
被写体が詰まってみえる効果を『圧縮効果』といい、ポートレートでよく用いられます。またコロナ禍が続く近年では、大通りに人があふれている状況を造り出すために使われ、悪い意味でSNSの話題に上りました。
(引用:2021年1月24日 毎日新聞 「報道は密を演出したのか カメラマンから見た「圧縮効果」批判と撮る側の悩み」)
望遠レンズで遠くを映す際は、手ブレの影響が強く出てしまうため余裕を持ったシャッタースピードや三脚での固定をしてあげるといいでしょう。また撮影場所から被写体までの大気の影響を受けるため、夏は道路から反射した熱でモヤがかかって見えてしまうことにも注意が必要です。
マクロレンズ
望遠レンズと似たレンズに『マクロレンズ』というレンズがあります。こちらは『最短焦点距離』と呼ばれる、被写体にピントがあう限界の距離を限界まで近くしたレンズ。()
望遠レンズとマクロレンズは同じ焦点距離でも効果が違い、望遠レンズが「遠くの物を大きく映し出す」というイメージに対して、マクロレンズのイメージは「近くの物を大きく映し出す」を主眼に置いたレンズです。多くは単焦点レンズなのも特徴です。
(何でもない植物も一気に画になります)
レンズ内のピントを合わせるためのガラスを、通常より大きく動かすことで焦点距離の短縮を実現。構造上、基本的に長い鏡筒を持ち、ピントリングが広い範囲に動きます。
マクロレンズはピントの範囲が極端に狭いため、F値を高く設定するのがミスのない写真をつくりあげるコツです。手振れの影響も大きく出てくるため、F値を除いた露光の制御(シャッタースピードをあげる、ISO感度をあげる)や、光量の確保、三脚の使用などの工夫で調整する必要があります。
制約の甲斐もあって、その分撮れる写真は驚くほど幻想的。ふだん目に映らない、極小の世界が映し出されます。
余談になりますが、マクロレンズは近くを映し出す以外にも、単焦点の望遠レンズとして使うこともできます。また逆に望遠レンズは、最短焦点距離の関係でマクロレンズの代わりを果たすことはできません。
もし単焦点の望遠レンズを買う予定がある場合には、同じ焦点距離でもマクロレンズを購入したほうが用途の幅が広がるためお得かもしれません。
本記事では、カメラレンズの種類についてご紹介しました。レンズの焦点距離は数あれど、大体のレンズはご紹介した種類で分類することができます。それぞれの間に相当するレンズでもカメラを使い込んでいけば、好き・嫌いがはっきりしてくるはずです。
レンズの種類を把握したら、次に重要なのは使い分け。
まずは『標準レンズ』で被写体を撮影してみて、
・「もう少し寄りたい」と思ったら『望遠レンズ』、
・そこからさらに「詳細を撮影したい」なら『マクロレンズ』、
・「広範囲を映したい」と思ったら『広角レンズ』、『魚眼レンズ』
・建築など「正確な形にこだわりたい」場合は『シフトレンズ』
と切り替えてみましょう。
最初の頃は時間がかかりますが、こちらも慣れてくれば一瞬で判断ができるようになります。
使い分け難しい場合は弊社にご相談ください!プロのカメラマンが適切な機材を使い、正確な写真を撮影いたします!!
それではまた!
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